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山岳小説「高熱隧道」

カテゴリ:スタッフブログ

2018年10月24日

池袋東口徒歩3分・南池袋公園前リラクゼーションスペース Relala のスタッフブログです。

こんにちは。ウエノです。

富山県にある日本一深く険しい谷・黒部峡谷。
そこに下ノ廊下と呼ばれる道があるのをご存知の方はいますか?

崖を人工的に開削してつくられたルートであり、幅は人がひとり通れる程度。
踏みはずせば、深いところだと数百メートル下の黒部川の渓流へ真っ逆さま…。断崖絶壁の道です。

↓こんなところです。

 
 
 

この時期私は毎年行こうとしていて、地図は覚えるほど読み、タイムスケジュールも組んで準備万端!
しかし何かとタイミングが合わず。今年も行けなかったので、なんと3年連続延期中…泣
(なので写真は山雑誌から)

つい前置きが長くなりますが…
本題です。

それは下ノ廊下の下にあるトンネルです。

昭和初期、黒部川第三発電所と水路・軌道トンネルの建設工事が行われました。
トンネル建設は難航を極め、犠牲者はなんと300名以上…!
(その際に通した道が下ノ廊下です)

その工事の様子を実話をもとに描いた小説があります。

「高熱隧道」 吉村昭著

ようやく作品タイトルにたどり着けました…
ネタバレですがあらすじを説明します。

黒部峡谷は雨量と河川勾配の点で電源開発の最好適地とされ、昭和11年8月トンネル工事が開始される。

峡谷に切り開いた道を通り工事資材の運搬をするが、崖同然の道からは転落死する者が続出。

そんな中始まったトンネルの掘削。
しかし、地下には高熱の断層が現れる。
わずか30m掘り進んだだけで岩盤温度は摂氏70度を超え、奥へと掘り進むにつれて岩盤温度はさらに上昇。

高温により、ダイナマイトはついに自然発火してしまう。予期せぬ爆発に作業者は全員吹き飛び、散り散りに…

さらに冬季、異常な破壊力をもつ泡雪崩が発生。コンクリートの宿舎が内部の人間ごと根こそぎ飛ばされ、一瞬で80名以上が死亡。

岩盤温度はというと、さらに上昇…!
とうとう摂氏166度!!を記録。史上類をみない過酷な環境が形成されていく。

犠牲者を出し続けながらもあらゆる工夫と対策をこらし、執念の末に隧道は貫通する…

…こんな話です。

 

隧道貫通に取り憑かれた技師と人夫達、極限状態での彼らの心理。
背景には戦争と国の圧力。
次々起こる事故と、淡々と人が死んでいく描写。
予想もつかぬ大自然の猛威。

こんなことが現実にあるものかと、かなりの衝撃を受けながらも引き込まれ…読んでいる間中眉間にシワでした。

とくに「泡雪崩」のシーンは鳥肌ものです。
自然は本当に怖い、恐ろしすぎます…

2つの工事班が「鑿先貫通」するために競う姿もまた鳥肌です。 

登場人物は架空であり、雪崩の記述には誇張した表現もあるようですが、綿密な取材の上に描かれているので内容はノンフィクション。

とにかく衝撃だらけの作品でした…

 

観光地として有名な黒部ダムや、黒部鉄道のトロッコなども、この成り立ちを知ってから行くと、単なる絶景!秘境!だけでは終わらなそうですね。

私も山目的で下ノ廊下を知ったのが先で、崖を歩きたい!というだけだったのが、高熱隧道を読んでからイメージが変わりました。
命がけで作られた道と、不可能と思われた隧道工事を成し遂げた職人達を思うと、ルンルン遊びに行ってよいものかと…
でも、そんな凄い過去があった場所だからこそ歩きたい欲は高まるばかりです。

 

下ノ廊下は例年9月下旬〜10月下旬までしか開通しません。
残雪などの状況によっては開通しない年もあるので、限られた時期にしか狙えない道なんです!

今この時期に、高熱隧道について書いたのはそんな理由からでした〜。
(あと、記事タイトルに山岳小説と付けたのは山奥が舞台であり下ノ廊下と関連するためでした〜)

来年こそ本当にいきたいです…

もし行くという方がこれを読んでいましたら、くれぐれもお気をつけください。
今月すでに3件の滑落死亡事故が起きているようです。

 

長くなりましたので、そろそろ終わります!

下ノ廊下、黒部へ行く際には出発前にぜひ読んでほしい「高熱隧道」でした!

 

 
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